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Wednesday, December 31, 2014

2014年を振り返る(本)

今年は36冊しか読めなかった。
読書に充てている時間は通勤電車内なのだけど、読み始めると睡魔に襲われてしまった。
少ないなかで、印象に残ったのは…

『田舎でロックンロール』奥田英朗
『パインズ  −美しき地獄−』ブレイク・クラウチ 東野さやか訳
『クラスメイツ 前期・後期』森絵都
『たった、それだけ』宮下奈都
『幾度目かの最期』久坂葉子

『田舎でロックンロール』は岐阜で高校生活を過ごした著者がロックとの出会いを綴ったエッセイ。
著者奥田英朗氏は、私と世代がおなじな上に音楽の好みが驚くほど近いところがあるので、面白く無いはずがない。ふたりともメインストリームではなくて、ちょっと路地裏のロックが好きなところも同じだし、読みながらうなずいたり笑ったり忙しかった。

『パインズ』は11月に入院していたときに、一気読みした。
訳のわからない状況で、次々と困難な問題が現れて孤立無援になる主人公。ラストで明かされる驚きの結末。
やはり、一気読みこそが小説の愉しみだと改めて思う。ページをめくる手が止められなくなった。

『クラスメイツ』は、中学のひとクラスの生徒ひとりずつのエピソードをつないでいく連作短編。
ひとつずつは短いエピソードなのだが、違った視点から積み上げていくので最後には大きく印象が膨らむという構成になっているのがポイント。少年少女が主人公の小説が好きなので、この著者でこの物語ならば嫌いなわけがない。

『たった、それだけ』は私の大好きな作家の最新作。2014年はもう一冊刊行されていて(『ふたつのしるし』)同じ年に2冊も新刊を読める幸せ。こちらを挙げた理由は、犯罪者となった男の家族や周囲のひとたちの心の葛藤が、強く胸に響いたから。迷ったり自問する姿を丁寧に描くこのスタイルが私はすごく好きなんですね。

『幾度目かの最期』は昭和27年発表された小説、というか遺書のような作品集。
神戸の裕福な家に生まれ、若くして書いた小説が芥川賞の候補に取り上げられた。自殺未遂を繰り返しながら小説を書き続け、ついには21歳の若さで思いを遂げるのである。私が生まれるよりも前の作品なのに、この普遍性。こんなに心揺さぶるものはなんだろうか。

これ以外にも、宗教ってなんだろうという興味から『一神教と国家』内田樹・中田考、お仕事小説の第一人者山本幸久は今度は芸者を取り上げた『芸者でGO!』、同じ著者でこちらもお仕事小説『ジンリキシャングリラ』、じわじわ隣人の恐ろしさがにじみ出てくる雫井脩介『火の粉』などなど

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