この人の作品は初読み。
普通のOLをやっている「こと葉」が幼なじみの結婚式で素晴らしいスピーチと出会う。伝説のスピーチライターと呼ばれる久遠久美。
言葉の持つ強さに感動して、彼女の元へ弟子入りする。
そして、自分が選挙演説のスピーチライターとして仕事をすることになるの。
こと葉の成長小説でもあり、ライバルも出現しての戦い小説でもあり、ロマンスも笑いもあり。
根底に流れるのは「言葉」の力である。
ボクの好きな要素が丸ごと入っているにもかかわらず、どうも入り込めない。
その一番の原因は、登場する政治家(目指す人も含めて)の言葉が、まっとうで感動にあふれていればいるほど、気持ちが離れてしまうのだ。
現実の世界では、政治家がかかげる当初の理想(言葉)とその後の現実があまりにも乖離しすぎて、どんな美辞麗句も結果的に(嘘をつくつもりはなくても)実現できないことをたくさん目の当たりにしているから。
あれだけ期待した民○党も、政権交代して与党になったとたん、あのていたらく。
「国民目線」、「みなさまのため」、選挙期間中はいやというほど聞かされたよなあ。
で、この小説に出てくる民衆党(こと葉が協力する政党)も同じように、政権交代を目指して「国民目線」「まっすぐ」をスピーチに盛り込むんだけど、どうしても現実で結果を知っている身では感動できないよ。
作家の責任ではないかもしれないが、この題材はあまりに現実(選挙運動中のオバマも触れている)が近すぎて、ボクの中では言葉も上滑り気味なのだ。
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