見た順番に書いている映画の感想だが、この3本は1ヶ月の間にみている。
実はこのあとも見たいのがあるので、しばらくは映画の日が続く。
関西は8月公開予定の『はじまりの記憶 杉本博司』公開が1週間しかないので忘れずに行かなければ。
『ミッドナイト・イン・パリ』
ウディ・アレン監督の日本での最新作。
ずっとご当地観光映画のような作品を取り続けている監督が
バルセロナ(『恋するバルセロナ』)、ニューヨーク(『人生万歳』)ときて、今回はパリ。
最初は本当に観光地紹介ビデオのように、主人公たちがいろいろな場所を訪れる。
主人公の男(シナリオ作家から小説作家へ転向を模索中)が婚約者と、その両親がパリへやってくる。
婚約者の父親のパリ出張に便乗してついてきていることが、彼らの力関係を物語る。
ある場所で、彼女の大学時代の恩師夫婦と偶然でくわす。
そこから、彼女は急速に先生と行動を共にしたがるのだが、男は知識をひけらかす先生が気に食わないし、彼女が親しすぎるのも面白く無い。
ある晩、男は婚約者が先生たちとダンスパーティへでかけるのとは別行動をとる。
深夜0時の鐘の音がすると、えらく旧式なクラシックカーがすーっと男の前に現れて、ついそれに乗り込んでしまう。
しばらく走って車が止まると、なんとそこは1920年台のパリだった。
観光地を次々まわる彼らの会話も面白いが、いきなりタイムスリップ。
そこではコール・ポーター、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリなどいろんな人がでてきて(知らない人もいる)彼らとのやりとりがまた面白い。
主人公の男は、朝になるとまた現代に戻ってくるのだが、誰にも言わずに、また次の晩にもタイムスリップするのだ。
密かな楽しみになる、向こうには恋に落ちた女性(マリオン・コティヤール)もいるし、どんどんのめり込んでいくのだが...
婚約者を演じているレイチェル・マクアダムスが、ちょっとやな役だけど可愛いらしい。
魅力的な映画でこういうの大好き、ラストシーンもいい。
『少年は残酷な弓を射る』
七夕の日に梅田ガーデンシネマにて。
もうやりきれない、どーんと胸にたまる映画。
『ミッドナイト〜』とえらい違い。
だから映画は面白いのだが。
望んで生まれてきたのではない息子を心から愛せない母と、それを敏感に感じて母親とまったくなじまず甘えることもできない息子。
この映画は時系列が頻繁に行き来するのだが、わりとわかりやすくまとめられているので混乱はない。
たがあちこちに謎めいたエピソードみたいのがばらまかれているし、見逃すまいという気持ちと、何が起きるのかわからない恐怖で、常に緊張を強いられる。
年の離れた妹が5歳ぐらいになってて、なぜか左目に眼帯をして現れる。原因は兄らしいのだけど、何があったかははっきりとは言わない。でも少し前からアーチェリーの練習を自宅の庭でやっているエピソードは知らされている。
それが原因らしいことはわかる。だけど明確にしないので、こちらはどんどん不安が膨らんでいく。
うまいなあ、怖いよ本当に。
現在の映像も頻繁にでてくるのだけど、母親が小さな家で一人暮らししていることもわかっている。
なぜ、ひとり?
しかも街の人から白い目で見られてて、嫌がらせも受けている。
なぜ?何があったのか。
そして、あまりにも救いようのない悲劇的事件が起きる。
いやはや、あまりにも重たく胸にモヤモヤが残る。
泣けてきた。
この映画を見たあと、難波ベアーズへ移動する。
それはまた、後ほど。
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