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Monday, January 01, 2018

2017年振り返り(本)

2017年は27冊読んだので、少し増えてきた。

私のベストは森絵都『みかづき』
小学校の用務員から塾経営を始める夫婦の物語。これが三代に渡っての物語なのでちょっとびっくり、学習塾の話で三代記とは。しかも波乱万丈で全く飽きないし、久しぶりに一気読みした。読書スランプから抜け出しつつある中で、一気読みの感覚を思い出した。ちょっと時間があると続きを読みたくなるあの感じ。本当に面白い本は最強ですね。

2017年最後に読了したのは本屋大賞受賞作品 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
これも面白かった。名作『チョコレート・コスモス』では演劇の世界を描いていたが、今回はピアノコンクールである。演劇や音楽という「言葉にしにくい」ものを、どうやって伝えるのか、作家の腕の見せ所だと思うのだけど、恩田陸の文章を読むとなんだか頭のなかにイメージが湧き上がってくる。
ほんとに小説を書く人、心から尊敬する。
2016年のベストにあげた宮下奈都『羊と鋼の森』もピアノ調律師の話で、こちらも感動的な小説だった。

Friday, December 30, 2016

2016年振り返り(本)

ますます読む本の量が減っている「危機的状況」なのだ
理由は、通勤が車になったことが大きいが、それだけではない。
読み出すとすぐに眠くなってしまう。
なんと今年は17冊!
完全な右肩下がり

デビュー以来のファンである宮下奈都『羊と鋼の森』は本屋大賞受賞作品でもあり、わたしも感動した。いつもの宮下調で、丁寧な筆致で自問自答を繰り返して心情の奥深くを描いていく手法が堪能できる。本作の主人公はピアノの調律師という、あまり馴染みのない仕事であるが、読んでいて音や音楽が聞こえてくることに感動する。
本屋大賞を受賞したことで、一気に全国区になり、メディアへの露出も激増した。それでも作品や製作のスタンスは変わることはないと信じている。

海外ミステリー『ミレニアム4 上下巻』も最高のエンタテイメント。
第3部までを執筆したスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンが急死したため、別の作家がこのシリーズを引き継いで書き上げた珍し作品。このあと第6部までは決まっているらしい。
世界観は前作と全く違和感なくつながっていて、主人公も相変わらず魅力的だしストーリーも抜群に面白かった。

気軽に読めて、しかもとても楽しい宮木あや子『校閲ガール』、山本幸久『誰がために鐘を鳴らす』もお勧め

Sunday, December 27, 2015

2015年を振り返る(本)

今年読んだ本は28冊。
年々読む本の数が減っているようだ。
10月に彦根から京都へと勤務地が変更になったため、通勤方法が電車から車に変わった。
通勤電車で本を読んでいたので、通勤方法の変更で読書時間が激減。
その分家で読んだらいいのだが、家にいるとついついテレビを見てしまうテレビっ子なのだ。

さて、印象に残っているのは

辻村深月著『朝が来る』
森谷明子著『春や春』
須田桃子著『捏造の科学者』
村松秀著『論文捏造』

『朝が来る』は、子供を産めない女と、産んだ子供を手放した女の物語。
手放す女の物語がなんとも切なく悲しい。
『春や春』は俳句甲子園出場を目指す、高校生のバトルを描く。まったく部員がいなかったクラブに、少しずつ集まってきて練習を重ねて...  こういう話し大好き
『捏造の科学者』は、あのSTAP細胞発見のニュースをめぐるノンフィクション。『論文捏造』は、STAPより以前に外国で起きた、世紀の大発見をめぐるデータ捏造の実話。なぜこんなことで高名な学者を欺けるのかとても不思議、そして疑惑が起き始めてからの展開はとてもスリリング。どちらもとても面白い「事実は小説より奇なり」である。

Wednesday, December 31, 2014

2014年を振り返る(本)

今年は36冊しか読めなかった。
読書に充てている時間は通勤電車内なのだけど、読み始めると睡魔に襲われてしまった。
少ないなかで、印象に残ったのは…

『田舎でロックンロール』奥田英朗
『パインズ  −美しき地獄−』ブレイク・クラウチ 東野さやか訳
『クラスメイツ 前期・後期』森絵都
『たった、それだけ』宮下奈都
『幾度目かの最期』久坂葉子

『田舎でロックンロール』は岐阜で高校生活を過ごした著者がロックとの出会いを綴ったエッセイ。
著者奥田英朗氏は、私と世代がおなじな上に音楽の好みが驚くほど近いところがあるので、面白く無いはずがない。ふたりともメインストリームではなくて、ちょっと路地裏のロックが好きなところも同じだし、読みながらうなずいたり笑ったり忙しかった。

『パインズ』は11月に入院していたときに、一気読みした。
訳のわからない状況で、次々と困難な問題が現れて孤立無援になる主人公。ラストで明かされる驚きの結末。
やはり、一気読みこそが小説の愉しみだと改めて思う。ページをめくる手が止められなくなった。

『クラスメイツ』は、中学のひとクラスの生徒ひとりずつのエピソードをつないでいく連作短編。
ひとつずつは短いエピソードなのだが、違った視点から積み上げていくので最後には大きく印象が膨らむという構成になっているのがポイント。少年少女が主人公の小説が好きなので、この著者でこの物語ならば嫌いなわけがない。

『たった、それだけ』は私の大好きな作家の最新作。2014年はもう一冊刊行されていて(『ふたつのしるし』)同じ年に2冊も新刊を読める幸せ。こちらを挙げた理由は、犯罪者となった男の家族や周囲のひとたちの心の葛藤が、強く胸に響いたから。迷ったり自問する姿を丁寧に描くこのスタイルが私はすごく好きなんですね。

『幾度目かの最期』は昭和27年発表された小説、というか遺書のような作品集。
神戸の裕福な家に生まれ、若くして書いた小説が芥川賞の候補に取り上げられた。自殺未遂を繰り返しながら小説を書き続け、ついには21歳の若さで思いを遂げるのである。私が生まれるよりも前の作品なのに、この普遍性。こんなに心揺さぶるものはなんだろうか。

これ以外にも、宗教ってなんだろうという興味から『一神教と国家』内田樹・中田考、お仕事小説の第一人者山本幸久は今度は芸者を取り上げた『芸者でGO!』、同じ著者でこちらもお仕事小説『ジンリキシャングリラ』、じわじわ隣人の恐ろしさがにじみ出てくる雫井脩介『火の粉』などなど

Tuesday, December 31, 2013

2013年を振り返る(本)

まだ、大滝詠一さんの訃報の衝撃が大きくて、なかなか心の整理がつきません。

2013年元旦に北大路公子の『ぐうたら旅日記』からスタートしましたが、今年読んだのは44冊。
ちょっと少なめだったのは、後半に失速したからなんですが、ボクの主なる読書時間である通勤時に、ほとんど眠ってしまったのが原因ですね。
最初に名前をだしたので、北大路公子さんですが、ツイッターも絶好調に面白すぎます。
もちろんエッセイも抱腹絶倒であります。

初めて読んだ作家も当然いくらかあるのだが、大ベストセラー作家である江國香織は初めて読んだ。
面白くって、読みやすかったしなんと6冊も読んだ。
なかでも最新作の『はだかんぼうたち』はとても良かった。元々文章は言うまでもなく上手な上に、多角的視点で多面的に描き出すのがすごくいい。
亀和田武著『夢でまた逢えたら』も面白かった。著者が出版社やTV関係で仕事をしていたときの話が中心なのだけど、人間模様がえーっと思うようなのもあって興味津々である。
ミステリーではジョン・ハート著『ラスト・チャイルド』は安定の面白さ。
トム・フランクリン『ねじれた文字、ねじれた路』、アン・クリーヴス『大鴉の啼く冬』も面白かった。
宮下奈都さんの初エッセイ集『はじめからその話をすればよかった』もいつも通り感動的で元気が出る。

来年もいい本と出会いたい。
そしてもっとたくさん読みたい。

Sunday, June 30, 2013

三回以上再読する本

元作家の豊島ミホさんのブログ「再読はワンダー、再々読はうんめい(6/25)」が面白い。
詳しくはリンク先を読んで下さい。

自分の場合、ほとんど再読すら珍しいのだが、さらに再々読ってあるだろうかと振り返ってみた。
まずは再読したものを思い出してみると

宮下奈都『よろこびの歌
(再読時もおなじ箇所で感動して涙ぐんだ )
(短篇集なので数編のみ再読したが、同じく感動した)
G.K.チェスタトン『ブラウン神父の童心
(ビンテージミステリーの短篇集。ミステリーでもトリックがどうのっていうのではないので面白かった)
柚木麻子『終点のあの子
(連作短編集。再読でも面白かった)
都筑道夫『なめくじ長屋シリーズ』、岡本綺堂『半七捕物帳シリーズ』

ほかにもあるだろうけど、いまぱっと思い出せたのはこれぐらい。
全部短篇集ではないか。
いつでもやめられる気楽さからだと思う。
そう思って読み始めたら、面白くって一冊再読了というパターンだと思う。

さて三回以上再読したものがあるか?
思い出してみよう。
.....
.....
あっ、思い出しました。

鈴木孝夫『ことばと文化
確実に三回以上読んでるな。
高校時代に、大学受験の過去問として、一部を読んだのがきっかけだったと思う。
で、新書を買って読んだらこれがめちゃくちゃ面白かったので、すぐに再読。
そこから、鈴木孝夫氏の著作をがんがん読みだして、その途中でこの本を再々読しているはず。
やっぱり最初に読んだこれが一番面白い。

特に好きなのが
日本人は家族の中で、両親が自分を呼ぶ一人称が「おとうさん」「おかあさん」って一般的なことだけど、その他の言語ではないらしい。(同じように、祖母は孫に向かって「おばあちゃんが買ってあげるからね」と、自分が自分を「おばあちゃん」と呼ぶ)
英語だと、どういうシチュエーションであっても、通常「I」しかない。
それがどういう理屈で成り立っているか、ということを説明する箇所。
なんど読んでも目からウロコが落ちる(←バカ?内容を忘れているのか)

豊島ミホさんの定義では、漫画の場合は六回再読が小説の三回再読に相当する、ということなので
これに当てはまるのは、(思い出せる範囲では)
水木しげる『墓場の鬼太郎(家にあるだけ)』
手塚治虫『白いパイロット(全2巻)』
井上雄彦『スラムダンク(全31巻)』
ぐらいかな。

Saturday, December 29, 2012

2012年の本

さて、あっという間に年末。
2012年に読んだ本は
55冊
まあ、例年ほぼこのぐらいのペースである。

圧倒的に面白かったのは
『ミレニアム』(全6巻!)スティーグ・ラーソン
3つの物語が、それぞれ上下巻なのだが、読み始める前に「長すぎて最後まで読めるか心配」
そんなことは全くの杞憂であった。
面白すぎてやめられない。
著者が世界的ヒットを迎える前に亡くなったのがなんとも惜しまれる。

『ジェノサイド』高野和明
も、今年読んだのだな。これも娯楽物語としては最高に面白かった。

昨年から続いている「文芸あねもね」に参加した作家たちへの熱い視線はまだ健在。
柚木麻子、宮木あや子、彩瀬まるなどあわせて7冊読んでいる。
いちばん笑ったのが
『野良女』宮木あや子
アラサー女子の恋愛話なのだが、かなりエロくて面白い。ながらく絶版状態だったが文庫化されて待望の発売となった。

通勤電車で読んでいて、面白すぎてやめられなくなり、降りる駅のホームのベンチで最後まで読んだのは
『早稲女、女、男』柚木麻子
主人公の早稲女(早稲田大学の女子)が可愛くて愛おしくなる。

そして今年ボクの読書道内デビューを果たし、赤丸急上昇なのが
北大路公子
元々は「文芸あねもね」のブログで、ツイッターが面白いということからフォローしたのが始まり。
中でも『梅ちゃん先生』に関するツイートが、そのするどいツッコミで毎日笑わせてもらった。このツイートを楽しむためにドラマを見続けたと言ってもいいぐらい。
最近、長澤まさみと榮倉奈々がそれぞれ別の雑誌のインタビューで「北大路公子好き」を公表して、世間の認知度も一気アップ、ともっぱらの噂である。
読める著作はすべてそうなめ(と言ってもエッセイ4冊)
文庫以外の3冊は、北海道の寿郎社という地方出版社からの出版である。大手出版社でないところが、面白さの絶妙のバランスのようにも思える。

そして2012年いちばん心揺さぶられたのは
『終わらない歌』宮下奈都
これは『よろこびの歌』の続編なのだが、この前作も大好きな作品でそれに劣らず素晴らしい。
ていねいに心の動きを綴る独特の文章は、読者の心を大きく揺さぶる。
主人公は二十歳過ぎの女性たちなのだが、読者の年齢性別に関係なく彼女たちの悩みや喜びに共感できる。
読書体験の醍醐味を存分に味わえる、ぜひ『よろこびの歌』から読むことをおすすめする。

Sunday, November 11, 2012

エル・グレコ展 〜 『よろこびの歌』

大阪国立国際美術館で開催中のエル・グレコ展いってきました。
本日11/10は学芸員の方の解説講演もあるということで、整理券ゲットのために開館時間に着くように家をでた。
10時5分前に美術館に到着。
けっこうな入場待ちの列である。
時間になってぞろりと入場。
講演の整理券は難なくゲット。
2時からの講演前に見ておくべし、と絵画展へはいると、これがかなりの混雑。
スキマをねらって少しづつ鑑賞を進める。
エル・グレコはルネッサンス後の人なので、宗教画か肖像画ですね。
印象的なのは色使い。
あとの講演でも学芸員さんがおっしゃってましたが、あの時代は線が重要で、色は二の次だった。(色が大きなウェイトを占めるのは印象派以降)
なのにエル・グレコは色にかなりの重点を置いているところが、当時は異端視されてた。
なるほど、よくわかる。
キリスト誕生のシーンの作品がいくつかあるのだけど、そのどの絵も赤子(キリスト)が発光しているのね。
かぐや姫の竹みたいに。
だけどその光に照らされている、母マリア様やそのほかの人が、それほど嬉しそうな顔をしてないのね。これからのキリストの受難を知っているからか?その描写も面白いですね。
絵を見たときは気づかなかったけど、エル・グレコは、現代絵画のキュビズムみたいな多視点の描写を取り込んでいるのね。肖像画でも、その視線では見えない顔の部分が描かれていたりしているらしい。
いろんなところで、とても現代的な考え方をもった画家であると。
面白かったですね。

12時前に絵画鑑賞からでて、2時の講演まで時間があるので、まずは腹ごしらえ。
美術館の向かいにある「中の島食堂」でおろし唐揚げ、小芋、紀州梅干、ごはん、味噌汁 630円。
とても混んでいたので、ちょっぱやで食べ終わり(時間をかけて食べたかったのだが)、さてと中之島をぶらり散歩。
堂島クロスウォークにある、グロリアジーンズコーヒーへ。
カフェラテ 350円。
持ってた文庫本『よろこびの歌』宮下奈都著を読む。
第一話「よろこびの歌」泣ける。
音楽高校への受験に失敗して普通科の高校へ通う、著名なヴァイオリニストを母に持つ少女が主人公。
高校では何もヤル気もなく目立たないように過ごしてきたが、学内合唱コンクールで指揮をすることになる。
そこでいろいろと衝突や葛藤があるのだが、最後にぐっとくるシーンがあるのだ、それが合唱コンクールとはちがう場面で起こすところがうまいなあ、宮下奈都。
この小説は、ボクにしては珍しく3回は読んでいる。なんど読んでも泣ける。
この次の「カレーうどん」も好き。
この喫茶店はかかっている音楽もボク好みで、大好きなRumerが何曲もかかっていた。
その効果もあって小説の感動が増えたかもね。

そうこうするうちに2時前になったので、再び美術館へ。
学芸員さんの講演とても面白かったよ。

Sunday, September 09, 2012

一乗寺探訪

京阪七条駅から出町柳、そこで叡山電鉄に乗り換えて一乗寺で下車。
西に向かって数分歩くと、恵文社がある。
キュレーションの時代にふさわしい、とても洗練された書店である。
テーマごとに実にうまく本がならべられている。

書店員の方がセレクトしているのだろうが、ちょっとひねりの効いたチョイス。
というか、ボクが知らない本が沢山あるので、何時間いても飽きない。
今回はドアを入ったところに、なぜか大滝詠一のナイアガラレコード関係の本が特集されて並んでいる。
これは嬉しい。


ここがユニークなのは、本だけではなく、奥へ入って行くと、雑貨小物や洋服も置いてあるし、また別の部屋へ行くと、食器なども置かれている。
今日は日曜日なので、特にお客さんも多かったかもしれないが、店内は7割方女性客であふれていた。
女性同士が多いようだ。
これまでなんとなく遠い印象があったのだが、よく考えたら駅からも近いし、全然行きにくいわけではない。
また、来ることにしよう。

続く

Wednesday, August 01, 2012

神戸続き

初日に兵庫県立美術館へ行ったあと、すごく久しぶりに神戸元町あたりを散歩した。
元町通にある海文堂書店は、海事関係の書籍や海図などを扱っている書店で、海の仕事をしていた父もよくお世話になった書店である。
ここはサブカル系の本も割りと置いてあって、ボクも好きな本屋である。
二階には古書店もあるのだ。
ブックカバーも、全然昔から変わってないけど好きだなあ。
メガ書店もいいけど、こういう個性ある本屋さんいいですね。

ところが、着いて15分ぐらいしたら「まもなく営業は終わり」との館内放送が聞こえてきた。
7時で閉店なのですね。
知らなかった。
もうちょっと見たかったなあ(結局2日後にもう一度来ました)

購入したのは
『詭弁論理学』(中公新書)
『季刊メタポゾン』(寿郎社発行の文芸誌。札幌の出版社ですね)

Saturday, May 05, 2012

面白いツイート

ちょうど1年前に、このtwitterが面白いと書いたのだが、その続き。
作家柚木麻子さん
著作もすべて面白い(全部読んでます)が、Twitter上で妄想TVドラマ脚本(勝手にキャスティングをしてドラマのストーリーを作ってしまう)がとても面白い。絶妙の配役でいかにもありそうなストーリー。
Twitterの1回の投稿制約140文字では、到底足りないので、続き物として公開される。

作家北大路公子さん
NHKの朝ドラ、ボクの周囲でも評判のよかった『カーネーション』のあとを受けて始まった『梅ちゃん先生』だけど、皆さんもつっこみたいことがいろいろありますよね?
そういう方はぜひ、北大路さんの黒梅ちゃんツイートとセットで鑑賞しよう。
北大路さんの鋭い洞察力のつぶやきが梅ちゃんを何倍も楽しくする。
このツイートと出会ってなければ、とっくに脱落してた。
NHKも感謝すべき、視聴者を最低ひとりはひきとめた。

こうしてみると、(ボクが思う)面白いツイートは、作家の人が多い。
140文字という制限があるなかで、文章のプロの方は伝えるのがうまいということ。
ぜひ、見習いたいと思うよ。

Saturday, December 31, 2011

2011年読んだ本

久々にこの1年で読んだ本を振り返る。
61冊+2である。(2が電子書籍)
ほぼ読了順に以下に示す。(同じ著者の本はまとめたので、順序が前後しているところがある)
エンタメを中心に、種々雑多な内容。
こうしてながめると、今年は翻訳本がなんと2冊のみ!
しかも、2作とも原作は古典的物語。面白そうなのはたくさんあったのに読めなかった。
『ミレニアム』が文庫化されたのでぜひ、と意気込んだがタイミングが合わず未読。
来年は翻訳で面白作品をたくさん読みたい。


2011年は東日本大震災という未曾有の大災害が起きた年。
それをきっかけに生まれた『文芸あねもね』という電子書籍版の同人誌が、この夏のボクの中心的存在だった。
電子書籍という新たな形態にちゃんと触れたのは初めてだったし、ブログ、twitterとも連動して目が離せなかった。
さらに、その勢いで、トークショなるものに初めて参加したという記念の年にもなった。
あねもねに参加されている豊島ミホさん、宮木あや子さん、吉川トリコさんに直に接して、作家の方が一段と身近に感じた。ボクの下世話な質問にも答えていただき、うれしい反面申し訳ない気持ちも。
身近といえば、twitterによるあねもね組のみなさんやボクの好きな作家の方達のつぶやきがとても面白くて、いまや日課のようにチェックしている。時々ボクのツイートに直接本人から反応があるのが楽しい。
買ったけど積ん読になっている本がかなりの量ある。このまま在庫は年越しとなる。
現在読書中なのが、今年一番話題をかっさらった『ジェノサイド』である。確かに面白いのだが、一気読みのタイミングを失してしまった感じで、ノロ読中。
宮部みゆきの『おまえさん』も発売即購入したが在庫中。ジョン・ハート『ラスト・チャイルド』、柚木麻子『嘆きの美女』なども待機中なのだ。
来年は100冊目標(特に意味はないが)、翻訳もの増加ということで。


シューマンの指 / 奥泉光
メロディ・フェア / 宮下奈都
誰かが足りない / 宮下奈都
その英語ネイティブはハラハラします / デイビッド・セイン
隻眼の少女 / 麻耶雄嵩
スウェーデンの四季暦 / 訓覇法子
本は、これから / 池澤夏樹
日本人のためのフェイスブック入門 / 松宮義仁
鈴木孝夫の世界 第1集 / 鈴木孝夫研究会
ことばと思考 / 今井むつみ
連続殺人鬼カエル男 / 中山七里
意中の建築 上・下巻 / 中村好文

住宅巡礼・ふたたび / 中村好文
普通の住宅、普通の別荘 / 中村好文
英語と日本語のあいだ / 菅原克也
味写入門 / 天久聖一
色即ぜねれいしょん / みうらじゅん
日本はスウェーデンになるべきか / 高岡 望
楽園 上・下 / 宮部みゆき
フォントのふしぎ / 小林 章
ふがいない僕は空を見た / 窪 美澄
街場の大学論 / 内田 樹
日本辺境論 / 内田 樹
トゥルー・グリット / チャールズ・ポーティス
キュレーションの時代 / 佐々木俊尚
放課後探偵団 / アンソロジー
散歩の収穫 / 赤瀬川原平
本日は大安なり / 辻村深月
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 / 辻村深月
太陽の坐る場所 / 辻村深月
空也上人がいた / 山田太一
自転車のまち / 濱野貴子
なぎなた / 倉知 淳
こめぐら / 倉知 淳
女子高育ち /辛酸なめ子
眠り姫とバンパイア / 我孫子武丸
うっかり鉄道 / 能町みね子
アメリカと宗教 / 堀内一史
困ってる人 / 大野更紗
ツチヤの貧格 / 土屋賢二
京都、オトナの修学旅行 / 赤瀬川原平・山下裕二
パパは今日、運動会 / 山本幸久
一匹羊 / 山本幸久
我が家の問題 / 奥田英朗
雨の塔 / 宮木あや子
セレモニー黒真珠 / 宮木あや子
それでも、日本人は「戦争」を選んだ / 加藤陽子
殺人鬼フジコの衝動 / 真梨幸子
初恋素描帖 / 豊島ミホ

ぽろぽろドール / 豊島ミホ
日傘のお兄さん / 豊島ミホ
リリイの籠 / 豊島ミホ
わらの女 / カトリーヌ・アルレー
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら / 岩崎夏海
明日のコミュニケーション / 佐藤尚之
あまからカルテット / 柚木麻子
乙女日和 / 山崎まどか
自分を予約する手帳術 / 佐々木かをり
ユニクロ帝国の光と影 / 横田増生
万華鏡の女 / ひし美ゆり子・樋口尚文
くちびるに歌を / 中田永一
タイニー・タイニー・ハッピー / 飛鳥井千砂
文芸あねもね / アンソロジー
川と星 / 彩瀬まる

Saturday, August 13, 2011

糺ノ森古本市

今年も行ってきた「糺ノ森古本市」
この写真は午後2時過ぎだと思うのだが、暑さもピーク、蝉の大合唱が全周囲から降り注ぐ。
この森の緑の深さがいいでしょう?
いやというほど真夏を感じることができる。

しかし、それにしても本ってたくさんある。
改めて言うまでもないが、これだけのたくさんの本があっても、手に取るものはその中の、ごくごく一部。
さらに、読むものは、さらにほーんの一部に過ぎない。
一生かかっても読む本なんて高が知れている、とここで改めて思ったわけなんですね。
この糺ノ森で。
結局4時間以上滞在して、3冊500円で買っただけ。ちょっと興味を魅かれたものもいろいろあったけど、買っても重くて持てんわ。
年かね?


Wednesday, August 03, 2011

文芸「あねもね」の読み方

電子書籍版同人誌 文芸「あねもね」であるが、電子書籍出版パブー より絶賛販売中である(なんと380円!)
売り上げは全額が東日本大震災の義援金として寄付される。
この配信はPDF版である。
ボクがこれを読む場合、iPhoneかPC(Mac)である。いちいちそのためにPCを起動するのは面倒なので、やはりiPhoneで読むことが多くなる。
しかし、ここでひとつ問題が。
50を越えてから、急速に近くのものが見えにくくなってきたのだ。
いわゆる「老眼」である。
元々かなりの近眼なので、遠くを見るとき(車の運転など)は近眼用メガネ。
近くを見るとき(読書、パソコンなど)は老眼鏡を使いわける毎日だ。
老眼鏡は、本と、(少し距離がある)PCの画面の両方がそこそこ見えるようにレンズの度を選択しているため、本の細かな文字は若干苦手なのだ。(どうしても見えない細かな文字の場合は、メガネをはずして対象物を目にぐっと近づけると、なんとか見える)
で、電子書籍だが、1ページ全体を画面いっぱいに表示させると(これが基本形)文字がかなりきびしいサイズになってしまう。
そのことをついtwitterでつぶやいたら、文芸「あねもね」の作家ご本人からRTいただいた。この場を借りて、お礼申し上げます、ありがとうございました!

そのやりとりの中で、わかってきたのは、
PDF版は文字サイズ変更は出来ない。
ページ全体を拡大することは可能。なので、ページの上下余白部分を最小限にするまで拡大すれば、「読むために上下にずらすことなく読める」最大文字サイズになる。
もしくはいっそシンプルに、読みやすい文字サイズまでぐんと拡大して、1行が一画面に表示しきれなかった場合は、その都度ぐりぐりページを上げ下げする。

そこで、iPhoneで供給されているアプリ中、どれが読みやすいかを試したのでそれを説明しよう。
試したのは次の3種類


iBooks:iPhone標準(無料)
iComic:本来はマンガ用リーダ(85円)
PDF Reader:PDFだけでなくWord、Excelなどのファイルも表示可能(85円)

結論から言うと、iComicが、ボクの場合一番良かった(現時点での評価。この業界は進化しているので、評価はすぐに変わる可能性がある。また、基準はボクの視力なので、ひとぞれぞれ読める文字サイズにばらつきはあろう。それを前提にお読みください)

それをもう少し詳しく説明しよう。

iBooksでは、常に上部にステイタスの表示がでているので、上下の余白をなくすようにギリギリまで拡大する(今後これを「上下ギリ拡大」と呼ぶ)とき、そもそもの拡大率が他の二つのアプリより若干小さくるので、拡大率ではiBooksやや不利。
この画像の左半分がiBooksで、右がiComicである。
なお、このサンプル文章は「あねもね」ではなく、ボクのブログから貼り付けたもの。「あねもね」と同程度の文字サイズになるよう作成したPDFである。

iBooksはページ送りなどの操作性はとても良かった。しかし、上下ギリ拡大しても、ページをめくると標準サイズに戻ってしまう。これでは、ページを繰るたびに、上下ギリ拡大の操作をしなければならず、これはかなり面倒。

その点、iComicは「拡大を保存」設定をONにしておくと、最初に設定した拡大率をずっとキープしてくれる。

さらに、ページ全体を左右へ平行ずらしできるタッチポイントがある。これも便利である。
(詳細はこちら参照ください)
PDF Readerはページ送りがもうひとつである。(本文をタッチすると、中途半端?な量を送ってしまう)それともう一つ、同一ページ内で上下には動かさずに、左右だけに移動させることができない。
上下にずれるたび修正するにが面倒。

途中の短編の頭出しがやりやすいのはiBooksである。
全ページをサムネイル表示できるので、あねもねの色鮮やかな各短編の表紙がすぐ見つかる。iComicはページ数を先にチェックしておいて、そのページ数へジャンプすることになる。

本文を読み始めたら、できるだけややこしい操作はしたくない。
という観点からみると、iComicの「一度拡大設定したら、その状態をできるだけキープしてくれる」という点と、上下方向にはずれにくいことがポイント高い。
しかしながら、欲を言えば「上下ギリ拡大」より、ほんのチョビッとフォントサイズが大きいとベストである。
そういう意味では、安心できる文字サイズまでページを拡大して、上下をぐりぐり動かして読む方法も、それほど悪くはない。大ざっぱな設定で読めるので。
この方法の場合は、iBooksの操作性がよかった。

番外編ということで、もうひとつの電子書籍リーダである『kindle』でも試してみた。
ボクが持っているkindle2では、日本語フォントが埋め込まれたPDFは日本語で読むことができる(kindle2は日本語対応していない。日本語対応はkindle3から)
あねもねを読ませてみた。ところが、kindle2のコントラストでは、文字が薄過ぎてとても読みづらい。
文字サイズは申し分ないので残念であった。

技術的なことは、すぐに修正されてもっと操作性がよいものがでるだろう。
電子書籍はまだ始まったばかり。

Saturday, July 30, 2011

文芸あねもね

文芸あねもね」という同人誌が創刊された。
同人誌という言葉はもちろん知っているが、ここで改めて辞書を引いて意味をみてみよう。
大辞林 iPhone版 によると
「主義・志などを同じくする人たちが、自分たちの作品の発表の場として共同で編集する雑誌。」
とある。
なるほど、まさしくその通りだなと思った。

この文芸誌を知ったきっかけはなんだったか、twitterで豊島ミホさんに関する書き込みを見つけたからだったか。
長らく作家活動を休んでいた(この活動は臨時営業らしい)豊島さんのブログには、
東日本大震災をきっかけに、同人誌「文芸あねもね」を立ち上げると書き込まれていた。
売り上げは全て議損金として寄付される。
しかも10人の女性作家の物語が収録されて 380円!
安い!
今回は紙の本ではなく、電子書籍のみで出版される。
従来の印刷よりもコストがかからず、手間もたぶんかからないだろう。

この立ち上げの様子が、ブログやtwitterにリアルタイムで書き込まれる。それを見ていると、辞書に書かれているとおりに雑誌が立ち上がっていくのがわかるのだ。
これがなかなか面白い。


出版されて、ボクも購入して読み始めたのだが、
「ちょっと字が小さくて読みづらい」
とtwitterでつぶやいたら、すぐに作家ご本人からいろいろな反応をいただいてびっくりした。
このあたり、作家自身が供給と直結していることも楽しいではないか。
まだまだ始まったばかりのメディアであるが、なんかわくわくしながら見ているのだ。

Saturday, July 02, 2011

7月になって楽しみなこと

ひとつは、MAC OS X Lionが発売になること。
ユーザーインターフェースがiPhone、iPadに接近するということで、ますますAppleイズムは盤石になりそう。

もうひとつは「文芸あねもね」が発売になる。
これは電子版の同人誌である。
東北大震災をきっかけに何かをしたいと集まった10名の女性作家が起こしたもの。
この中に、筆を折って久しい豊島ミホさんがいるのだ。
本人いわく「臨時営業中」だということだが、何はともあれ久しぶりに読めるのはうれしい。
さらに柚木麻子さん、山本文緒さん、宮木あや子さんも執筆陣に名前があるのだ。読んだことがない作家もいるが、そちらもどんな作品か興味があるところ。
「文芸あねもね」は電子書籍パブーで7/15発売です。

以上 7月のささやかな楽しみ二点でした。

Sunday, April 24, 2011

最近読んだ本

わりと最近読んだ本をまとめて紹介

『隻眼の少女』麻耶雄嵩(文藝春秋)
現実にはありえない設定(巫女さんのような衣装を着た少女探偵見習いが事件解決する)を、楽しめるかどうか。
これを嬉々として手に取るミステリー通は、かなり楽しめるはず。
推理小説の様式美好きは、大どんでん返しもあって、まちがいなく楽しめるはず。
ボクも楽しみました。

『スウェーデンの四季暦』文・訓覇法子、絵・ルー・モッスベリィ(東京書籍)
スウェーデンの絵日記。
イラストが淡い感じで優しくて北欧への旅愁を誘う。
北欧の旅のあとで読んだので、よりいっそう楽しめた。

『本は、これから』池澤夏樹編(岩波新書)
電子書籍元年と言われる2010年、いろいろな人が「本」について語ったエッセイ集。
印象的だったのは内田樹のこの一文
「読書とはトンネル工事のように、お終い(最終ページ)を常に意識しながら読み進めるものだ。電子書籍の欠点のひとつは、お終いが見えないこと。全体の中で、いま自分がどのあたりにいるのかがわからない」
さすがに面白いこと言うなあ。
しかも共感できるしね。

『ことばと思考』今井むつみ(岩波新書)
鈴木孝夫から興味を持ったことばの世界。
本書では「違う言語を話す人は、違った世界を見ているのか?」ということを扱っている。
これだけで、面白そうと思ったあなた、ぜひ読んでみてください。
著者が、仮説をどうやって検証していくのか、その実験方法もなかなか興味深い。

『連続殺人鬼カエル男』中山七里(宝島文庫)
なんだこのタイトル。
前作『さよならドビュッシー』が結構面白かったので、つい手に取ってしまった。
音楽ミステリーの前作から一変して、猟奇連続殺人を扱った本書、全然作風が違うことにビックリ。
どんでん返しもあるし、エグイ話が大丈夫なミステリーマニア向け。

『意中の建築 上下巻』中村好文(新潮社)
建築家である著者が、タイトル通りに意中の建築を世界中に訪ね歩く。
その建造物のどこが魅力的なのかを、丁寧な文章と写真、手書きイラスト(これはもちろん著者)でわかりやすく紹介してくれる。書籍も大判の判型なので、ゆったりとした気分で楽しめる。
建築が本業の著者なのでイラストはもちろん素晴らしいのだが、文章が優しくって、人柄が表れていてボクは好き。
どの建築もいわゆる観光地でないものが多いので、余程の機会がなければ実際には見ることはないかもしれないが、この目で見たいと強く思わせる。

『日本はスウェーデンになるべきか』高岡望
ボクの出身高校の同窓会HPで紹介されていたので手とってみた。
要するに同窓生の書いた本である(しかも一期下なので、同じ期間に在学していたことになる)
内容もなかなか興味魅かれる。
スウェーデンのひとたち、まじめなんだね。日本と比べて人口が少ないという決定的な違いもあるけど、いろいろなもののシステムをよく考えてある。

『楽園 上・下』宮部みゆき(文藝春秋)
最近の宮部みゆきは時代小説ばかり読んでいて、現代ミステリーものは『模倣犯』か、『理由』以降読んでいなかったように思う。
時代小説はホントに面白くて泣けるし、当代随一だと思う。
それで久しぶりに読んでみたら、やっぱり宮部さんは何を書いても一流の物語作家だと、いまさらながら認識した。
冒頭、事故で亡くなった少年が、人の思いを読む特殊な能力の持ち主であるという、興味を引かせる設定を提示する。すると、話しは少年から離れて思わぬ方向へ展開していく。読者はいい意味で裏切られるわけだ。
このあたりの展開と全体の構成(ちゃんと最後には少年に戻っていく)、登場人物の設定と配置、ずべてに目が行き届いている。

『フォントのふしぎ』小林章(美術出版社)
ドイツ、ライノタイプ社で欧文フォントのデザインをしている日本人の著者が、一般向けにフォントの魅力を伝える、写真たっぷりの本。
日本人でありながら、欧文フォントをデザインしているっていうのがまず驚きだ。
それはさておき、本書に書かれているような、ちょっとしたことを知った上で欧文の本や看板を見ると、よりいっそう世界が面白く見える。ヨーロッパの至るところにあふれているヘルベチカという書体や、ひとつのタイトルを表すのに複数の書体を組み合わせて、デザイナの思いを実現するなど、フォントも奥が深い。

Monday, February 21, 2011

CHASKA茶屋町

あたらしくオープンした「MARUZEN & ジュンク堂書店」に行ってみた。
リアル書店としては、日本でも最大級の蔵書量との事である。
建物の建築設計は安藤忠雄。

この写真では上部が写っていないが、地上7階地下1階すべてが本屋である。
これはかなり興奮する。
約2時間かけて全体をまわってみたが、疲れた〜。
詳細にはもちろんまわりきれないが、なかなか楽しかったのだ。
電子書籍元年と言われた昨年度に電子端末が一気に市場へ解放されたが、こんなぶらぶら歩きはリアル書店でなければできない。
検索ではひっかからない本を手に取ってながめることができる。
この楽しさは格別だ。

Wednesday, January 19, 2011

『メロディ・フェア』 宮下奈都

メロディ・フェア
今回のテーマは化粧、化粧品である。
装幀もポップな化粧品、カバーをとると真っ赤な地色に、表は口紅、裏はマニキュアのイラストが小さく描かれている。
なんだか縁がないなあ、と思って敬遠するあなた。
まあ、そんなこと言わずに読んでみてください。
ボクも生まれて50年、いたずらでも自分の顔に化粧品をつけたことはない。
しかし、化粧に興味があるなし関係なく楽しめる。そして少しは、化粧をする女性達がどんな気持ちでいるのかがわかる。
いや、わかったと言ってもボクなりに理解しただけなのだが、小説はそれでいい訳で、実際に経験しなくても想像力で体験できるのだ。
想像できるように作家が書いてくれているのだから、それを受け止めよう。

大学を卒業して田舎(福井県)へ帰ってきた、ちょっとお気楽な結乃は、第一志望ではない化粧品会社に就職。
勤務先も第一志望のデパートではなく、ショッピングモールの人通りの少ない一角の化粧品コーナーである。
がっかりなのだが、この主人公くさらない性格なのがいい。
職場で出会う凄腕と言われる先輩、いつもトリからあげをさげてくる何も買ってくれないおばさん、閉店間際に現れる厚化粧の女や頼りないマネージャなどなど、でてくる人物が生き生きしているのだ。どんどん頭の中にイメージが浮かんでくる。
一番の気掛かりは、化粧嫌い(というか憎んでいる)妹との関係もなんとか修復したいと思うのだが、それもままならない。
そんな日常が少しずつ変わっていく。結乃自信も変わっていくけど変わらないものもある。
いつもどおりの丁寧な描写だが、今回はこれまでの作品中一番軽快で、ユーモラスである。
幼なじみと出会った時に、名前よりも先に、当時互いに言いあっていた合言葉の方がすっと記憶におりてくる件など、この感じわかるなあ。携帯電話で話をするようになって、その合言葉が復活するあたりなど、思わず笑ってしまう。
ちょっと山本幸久の仕事小説を思い出した(最近新刊がでてないね)
会話文での言葉遣い、結乃が家族と話をするときは福井弁になるところなど、リアリティがあるし、もうページをめくるのが楽しくて仕方がない。
最後は、じんと感動が広がって爽やかだ。
ボクは朝の通勤電車で読み終わったのだけど、今日も一日やるぞーと元気がみなぎってきた。

他の宮下作品は、これこれこれこれ など。
著者のツイッターもかなり面白い(特にお子さまたちの日常)

Saturday, January 15, 2011

『シューマンの指』奥泉 光

2011年最初に読んだのは、この本。
面白かったですね。

シューマンを最高の作曲者であると賛美するピアニスト永嶺修人、この登場人物の口を借りて語られる作者のシューマン愛が、最初のうちはちょっと鼻につく。このまま最後までこの調子だとつらいなと(しかもボクの好きなグラン・グールドは嫌っているし)思いながらも読み勧めていく。しかし、なんだろう、だんだんと文章に惹きつけられていくのだ。文章そのものを読んでいるのが快感になってくるような、そんな感じ、それと平行してシューマンの音楽もすごく聞いてみたくなってきた(ボクは1枚もシューマンを演奏したCDを持っていない)
作家としての力と、シューマンへの愛情にボクが寄り切られたのだろうか。
物語は「私」が高校生の時に、同じ学校へ転校してきた永嶺修人と知り合いになる。そこに、もうひとりの友人を交えて、音楽やシューマン論を話したり、三人で会報を作ったりする日常が、「私」の手記という形で語られていく。
「私」が音大目指して浪人中に、母校の高校で殺人事件が起きる。その謎、その後突然登場する、永嶺の恋人気取りの不美人な女、などミステリー的要素が俄然満ちてくる。
最後まで読むと、かなりミステリーとしてもよくできているのがわかるが、それがおまけのように見えてしまうぐらい文章とシューマンに、気持ちは持っていかれてしまうのだ。

2011年、なかなか良いスタートをきれたので、このあとも楽しい本と出会えるといいな。