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Friday, August 01, 2008

アナログとデジタル

兵庫県立美術館で開催中(〜8/24)の「冒険王・横尾忠則」にて。
横尾氏の最初期作品である、ポスターや雑誌の表紙・挿画が多数展示されている。その頃の作風は、精緻なペン描画なのだが、当時(1960年代後期)はもちろんすべてがアナログの世界。絵やロゴは手書き、文字については一文字ずつ切り抜いて字間など微調整しながら貼り込んでいく。それはもうホントに見事な作品ばかりで、感動する。
これってバランスが悪かったりした場合、すべて(またはかなりの部分を)ご破算にしていちからやり直しになるのだ。
そうなると、膨大な時間がかかり手間もバカにならない。
従って、やり直さずに済ますために、実作業前に十分頭の中で「仕上がり」を想像しなければならない(ハズ)。
頭の中にある間ならばやり直しが自由にできる。

一方、デジタルの場合、それほど頭で煮詰めなくても作業にかかれる。
やり直しなんてとっても簡単。とりあえずキープ(別名でファイルする)しておくことも可能。
効率を追求する上ではデジタルは革命的でさえある。
しかし、煮詰めていないからどうも弱い。アイデアの根拠が固まっていないからなんだか希薄になる、などの弊害も合わせてもつことになる。作業にかかると形あるものにばかり注目してしまう傾向があるからね。
創造的な分野においては、弊害の方がむしろ割合は大きいのかもしれない。
なんてことを作品を見ながら思った。

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