映画の日で1000円である。
『鴨川ホルモー』で調子に乗ってつぎの映画へ。
こんどは対照的に娯楽性の少ない1本をチョイス。
薬物依存症で施設に入っていたキム(アン・ハサウェイ)は、姉レイチェルの結婚式に出席するため久しぶりに帰宅する。
前夜祭のパーティで、自分のことをあけすけに紹介してみんなを凍りつかせたりするキムを、家族は持て余しぎみである。
かつてキムが、幼い弟を依存症が原因で起きた事故で死なせている事実が、家族に重くのしかかっていて時折そのことで感情が爆発する。
わりと重いテーマをもったこの映画は全編ハンディカメラで撮影したかのようなぶれた映像で構成される。実在の家族の結婚式を追ったドキュメンタリーのような錯覚におちいるのだ。もちろん意図してそうしているわけで、そんな映画を撮ったのはジョナサン・デミ監督である。ジョナサン・デミといえば傑作ライブ映画『ストップ・メイキング・センス』の監督である。この映画はアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」のライブ映画である。印象的なタイトルバックからラストまで、息つく暇もないほどテンションの高い、しかもアーティスティックな映像と音楽。
「レイチェル〜」でも、その感性は遺憾なく発揮されていて、特に披露パーティでの演奏シーンはかなり充実している。少し長すぎる気もするが、踊ったり歌ったりしながら見せるみんなの幸せそうな笑顔がとてもいい。そのなかでひとりだけ次第に笑顔が消えていくキムの対比が印象的である。
翌朝宴は終わり、キムはまた施設へと帰っていくのだ。
大作でもないし大ヒットはしないだろうけど、アカデミー賞監督(「羊たちの沈黙」で受賞)でもこういう良心的な映画を作ってしまうというところにも感心する。
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